2019年12月03日

白鵬関のかち上げと張り手

 先日の九州場所で通算43回目の優勝を果たした白鵬関に対し、2つの週刊誌が「かち上げと張り手の多用は横綱らしくない」と横綱審議委員が言ったという記事を発表しました。
 「横綱らしい」という言葉自体、かなりいい加減なものです。おそらくは、立ち会いから四つに組んで寄り切りや上手投げで勝つ相撲をいいたいのでしょう。
 しかし、それだと、今から100年くらい前に、突っ張りで圧倒的な成績を残した、横綱・太刀山関も「横綱らしくない」という事になってしまいます。
 何が「横綱らしい」かはともかく、白鵬関が相撲のルールにのっとって技を出している以上、それに文句をつけるのは筋違いです。
 ちなみに、相撲のルールでは、両手で同時に張り手を行うのは危険だから反則となっています。逆に言えば、白鵬関が得意とする片手での張り手は、相撲のルールを遵守した技であり、問題視するほうがおかしいのです。
 現在、白鵬関の優勝回数は43回で、それまでの最高記録だった32を大幅に上回っています。
 当然ながら、それだけの桁違いの優勝を果たした理由の中に、かち上げや張り手の有効活用があるわけです。
 その活用は褒められる事はあっても、けなされる事ではありません。
 どうしても相撲としておかしいというのなら、「自粛要請」でなく、ルール変更で張り手やかち上げを禁止すればいいだけの話です。彼らがそれを主張するなら、一理ある主張と言えるのですが…。
 というわけで、一連の「かち上げ・張り手批判」を見るたびに、その質の低さに呆れています。

2019年12月03日 11:54