2019年05月07日

正義の暴走?

 最近、ネットで「正義の暴走」という言葉をよく見ます。
 正しい事をやっているつもりが、「暴走」して悪事になってしまった、という意味合いで使われているようです。
 しかし、この言葉はかなり非論理的です。
 正義というのは当然ながら「正しい事」です。一方、暴走というのは「間違った事」です。つまり、「正しいけれど間違った事をした」と言っているわけで、これは明らかな矛盾です。
 実際に「正義の暴走」などと評される事例を見ていると、そのどこにも「正義」など存在していません。
 よく使われる事例としては、悪いことをした人の個人情報をネットに出すなど過剰に攻撃するなどがあるようです。しかしながら、「相手が悪人なら何をしてもいい」という出発点がそもそも「正義」ではありません。
 悪いことをした人を裁くのはすべて法にのっとって行うのが「正義」です。それ以外の方法で、権限のない人間が「悪人」に制裁を加えようとした時点で、それは「正義」ではありません。ただの「悪」です。
 つまり、そもそもが「正義」ではないのですから、「正義の暴走」など存在しないのです。
 そういうわけで、「正義の暴走」などと論じている人を見たら、「この人は『正義』の事を知らないのか、知っていて人を騙そうとしているのだな」と理解し、その言説は相手にしないのが得策だと思っています。

  2019年05月07日 23:30