2019年03月15日

「漫画の神」と人権

[ 漫画 ]

 30年ほど前に逝去した手塚治虫さんは、現役時代も今も「漫画の神」と呼ばれています。
 自分も、子供の頃から色々な作品を愛読していましたし、確かに素晴らしい作品を描いた人だと思います。
 ただ、だからと言って、手塚さんが描いたものが絶対的に正しい、という事はないと思っています。
 特に、差別問題で言えば、決して「進歩的」と言える人ではありませんでした。
 「鉄腕アトム」などで「ロボットの人権」的なものを描いた一方で、アフリカ系の人に対しては、露骨な差別表現をしていました。

 もちろん、当時の風潮が今よりさらにずっと、差別を容認するものだった、という事はあります。
 しかし、当時はすでにアメリカでは公民権運動が行われていました。それを注視し、きちんと調べれば、自分の表現が差別である事を理解できたはずです。
 そのような、今では許されない差別表現をした、というのは歴然たる事実です。
 いくら名作を描いたからといって、その差別が正当化される事は絶対にありません。
 にも関わらず、最近、その「手塚さんの作品だから…」という論法で差別表現を容認するような言説を見たので、非常に気になっています。

2019年03月15日 22:11