2019年01月16日

「枠」の悲劇

 横綱の稀勢の里関が引退しました。8場所連続休場・8連敗などの、残念な「横綱記録」ばかりが目立った晩年の相撲人生でした。
 稀勢の里関の横綱昇進の際には、これまでより甘い「昇進基準」が話題になりました。
 前の場所は、14勝して優勝した鶴竜関に2勝差をつけられた12勝3敗でした。次の場所で初優勝して横綱になったわけですが、これは「二場所連続優勝もしくはそれに準ずる成績」という規定を満たしたとは言い難いでしょう。
 おそらく、外国出身の大関が、稀勢の里関と同じ成績を挙げても、横綱に推挙される事はなかったのではないでしょうか。
 新横綱の場所は、終盤で明らかに出場が無理と思われる怪我をしながら、「奇跡的な勝利」を続けて優勝していました。その結果、怪我が尾を引いて、休場を続けて、以降、まともに相撲が撮れたのは一場所だけ、という結果に終わったわけです。

 もし、横綱昇進の基準に、出身国や国籍によるバイアスがなければ、普通に大関を続けられたはずです。「奇跡的な勝利」で新横綱優勝を果たした場所も、普通の大関だったら、怪我した時点で普通に途中休場し、大怪我にならなかったのではないでしょうか。
 日本出身で日本国籍を持つ人を横綱にせねばならない、という相撲協会・横綱審議委員会・それを取り巻く人による「日本人枠」特例による横綱昇進が、稀勢の里関の相撲人生を縮めてしまったわけです。
 これを機に、このような「日本人枠横綱昇進」はやめてほしいものだと思いました。

2019年01月16日 23:17