2018年10月08日

AI置き換え論議の謎

 最近よく「AIへの置き換えで、○○という仕事はなくなるだろうり、その要員はいらなくなるだろう」という言説を見ます。
 AIの先端でどのような研究が行われているかの知識はありません。とはいえ、事務仕事などにあてはめて考えれば、これが本当かどうかはかなり疑問です。
 これまでも、ICT関連の発展は、様々な形で仕事に影響を与えてきました。しかし、そのおかげでなくなった仕事などどれだけあったでしょうか。
 たとえば、Excelの登場で、「手書きで表を作って数字を書き込み、その数値を電卓で計算して、結果を表に書き込む」という業務はなくなりました。

 しかし、だからと言って、「Excelの普及が原因で失業した」などという人が出た、などという話を聞いたことはありません。
 他にも、電子メールやグループウェアなど、これまで行われていた業務を大幅に短縮できる物は多数出ました。これらも同様に、「それによって仕事を奪われた人」など発生していません。
 AIだって同じコンピュータシステムです。にも関わらず、人間一人ぶんの仕事をまるまる代行し、それをやっていた人間が用済みになる、という事があるとは到底思えないのですが・・・。
 当然、AIを導入するほうとしては、「投資してAIを導入したぶん、人件費を削って利益を増やそう」という思惑があるわけです。
 しかし、それは人を働かせて儲ける立場の理屈であり、働く人が受け入れるべき理屈ではありません。
 それを考えると、この「AIに仕事が奪われる」という経営者やマスコミの主張の正体が分かるのでは、と思っています。

  2018年10月08日 23:51