2018年05月05日

「両論併記」だと公平?

 対立する二つの意見を並べて紹介する記事をよく見ます。二つの意見を平等に取り上げているのだから公平だ、と作る側は主張したいのでしょう。しかし、実際はどうなのでしょうか。
 たとえば、「栃木県の県庁所在地は宇都宮市だ」という論と、「栃木県の県庁所在地は栃木市だ」という論があったとします。これを「両論併記」すれば公平な記事になるのでしょうか。
 もちろん、そんな事はありません、そんな「両論併記」記事は、「嘘がまざっている信用に値しない記事」でしかありません。
 実際に、その「公平な記事」を読んだ結果、「栃木県の県庁所在地は栃木市だ」と誤った認識をしてしまう人も出てくるでしょう。

 いまの例示では、事実と事実でない「両論併記」でした。しかし、やろうと思えば、事実でない二つの「論」を併記することももちろん可能です。
 そうなると、どちらを信じても騙されるわけです。
 こうやって考えていけば、「両論併記」は「公平」を担保するものではない、という事がよく分かると思います。
 言い換えれば、「この記事は両論併記だから公平だ」という言説を見た場合、それを言った人はミスリードを狙っている、と理解すべきだ、となるわけです。

2018年05月05日 12:45