2018年02月23日

自殺のサイン?

 保守系評論家の大御所で、先日、入水自殺をしたN氏が最後に書いた本を立ち読みしました。
 N氏の思想にはあまり共感できませんでした。それに加え、電車の中で見かけた大学時代の友人がたまたまN氏に気づかなかったという理由でその友人の事を悪く言った、という若い頃の逸話を聞き、強く反感を持ったものでした。
 そういうわけで、強い哀悼の意があったわけではありません。ただ、その著書の「あとがき」が自殺を示唆していた、という話をネットで見たので、気になって読んでみたわけです。
 確かに、この結果を前提に読んでみれば、紛うことない「自殺宣言」でした。とはいえ、その本を口述筆記した家族や、その原稿を読んだ担当者などもそうとは思わなかったのでしょう。
 もしその人たちがあの文章を読んで、「真意」に気づいていれば、全力を賭して止めようとしたはずです。
 よく、お役所の自殺防止キャンペーンなどに書かれている「自殺のサインに気付こう」などという空虚な宣伝文句を見るたびに「事前に気づいていれば自殺遺族は苦労するわけないだろう」と呆れていました。
 それだけに、今回、遺族の方や周囲の方々が、あれだけ露骨な「自殺のサイン」に気づくことがなかった、という結果は、自分の「呆れ」が正しかったという傍証になりました。
 これを機に、「自殺のサイン」なる非現実的な言葉が消え去ってほしいものだ、と思っています。

2018年02月23日 22:21