2017年09月21日

「正しい意味」の意味

 ヤフーのトップに「さわり」の正しい意味を知っていますか?なる記事が掲載されていました。
 なんでも、「さわり」の意味について訪ねた所、文化庁公認の「正しい意味」である「話の要点」と答えた人は36%でした。一方で「話などの最初の部分」と答えた人は56%だったそうです。
 しかも、この質問、この二つの選択肢のどちらかを選ぶ形になっています。
 ならば、「自分の感覚では『最初の部分』だが、こんな質問をする以上、『要点」が『正しい意味』なんだろうな」と思って「要点」を選んだ人もいたのではないでしょうか。
 もし、記述式でやったら、「話などの最初の部分」と答えた人の割合がさらに増え、「要点」と答えた人の割合が減っていたこと、間違いありません。

 何度も書いていますが、言葉の意味は移り行きます。平安時代に「あわれ(あはれ)」は、「しみじみとした情感」を意味する言葉でした。しかしながら、、「あわれ」を「かわいそう」と解釈するのは「正しい意味でない」と採点する人は現代日本にはいません。
 実際、自分も、子供の頃から「話のさわり」は、「話の最初の部分」と理解していました。それを考えると、「さわり」を「要点」とするのは、「正しい意味」というよりは、「昔の使われ方」としたほうがいいのではないでしょうか。
 一度、この類の質問で、「言葉の正しい意味とは」という質問をしてみてはどうだろうか、と思いました。
 そして、選択肢に「大多数の人が認識している意味」と「ほとんど使われなくなったが、文化庁が『正しい意味』と定義した意味」を出すのです。
 そうやって、「正しい意味」という概念の「意味」をどう認識するかを見直してもいいのでは、と強く思いました。

2017年09月21日 22:11