2017年03月14日

いつの間にか消えた風習

 ある店員さんのツイッターに、異常な態度を取る客が、捨て台詞に「もう二度と来ない!」と言ったので、思い切り「ありがとうございます!」と言い返した、というのがありました。
 かつては、このような非常識な客が来たら、店員さんが普通に怒鳴り返し、「お前のような奴は客じゃない、出てけ!」と追い返した後、「おい、塩まけ、塩!」と「お清め」をする、というのが定番でした。
 しかしながら、いつの間にか、このような習慣はなくなりました。
 もし、冒頭に紹介した店員さんがそのような事をすれば、会社に「クレーム」が入り、何も悪いことをしていない店員さんが叱責される、という結果になってしまうでしょう。

 このような世の中になってしまった事の原因は二つあると思っています。
 一つは、先述したように、クレーマーが不当な文句をつけた時に、上司が保身を優先して部下に責任を押し付ける、という風潮ができた事でしょう。
 自分も、若い頃、ルール通りの対処をしたところ、クレーマーの勢いに気圧された上司が、それに屈し、呆れた事がありました。
 もう一つは、「サービス業の従業員と客の間に上下関係がある」というような風潮ができた事です。
 これに関して忘れられないのは、ちょうど30年前に行われた「国鉄分割民営化」のキャンペーンでした。国鉄の従業員が客に「タメ口」を使うことが、とんでもなく悪いことであるかのようにマスコミが煽り立て、「国鉄職員はなっていない」→「国鉄職員のせいで国鉄は多額の赤字を抱えた」と世論誘導しました。
 その結果、国鉄は堂々と不当労働行為を行い、マスコミはそれを応援しました。
 そして、酔客が駅員に「態度がデカい」と暴力を振るう、という新たな「風習」が生まれてしまったわけです。
 冒頭の件にかぎらず、その歪みが、色々な所で現れている世の中になったな、と改めて思いました。

2017年03月14日 22:18