2016年11月16日

マスコミの相対的変化

 フジテレビが、ヤンキースの田中投手が「トランプタワー」に住んでいると大誤報をしたという記事をネットで見ました。発信元は東京スポーツという夕刊紙です。
 東京スポーツといえば、かつては「ウソ見出し」で有名だった新聞です。事実と異なる「ニュース」を大きい文字で一面トップに書き、その下に目立たないように「か?」とか「という説がある」とつける、というのを得意技にしていました。
 30年くらい前に、ラジオで東スポの偉い人へのインタビューを聞いた事があります。その時、担当者は、他社が一面に野球で「◯◯投手、完封!」と書いた夕方に、「◯◯投手、完封の陰に女あり」という見出しを作るのが、我々のやりかたです」と堂々と語っていました。

 ところが、今では、そのような「ウソ見出し」を売りにした東スポが、フジテレビの「嘘ニュース」の被害を受けた田中投手を取材し、それがデマであることを証明しているわけです。
 現在の東スポの編集方針はわかりません。少なくとも、30年前と違うことは確かです。
 一方、今回の件におけるフジテレビの編集方針は完全に、30年前の東スポと同じ、いやそれ以下のメンタリティでした。
 要は、全国ネットのテレビ局の品質が、かつての東スポと同レベルになってしまい、相対的に東スポが「事実を報じるメディア」になってしまったわけです。
 30年前に、「フジテレビが事実と異なるニュースを流し、それを東スポが本人に取材してウソであることを明らかにした」などという話をしたら、皆、「荒唐無稽な作り話だな」としか思わなかったでしょう。
 日本の報道の自由度ランキングは劇的に下がっています。それだけ、マスコミの品質が下がっているわけです。
 今回の「フジテレビが大嘘を流し、それを東スポが検証する」はその象徴とも言えると思いました。

2016年11月16日 23:02