2016年10月19日

「ムダ」を減らすために「ムリ」させる

 かつて、業務改善の指針として「ムダ・ムラ・ムリ」をなくすことが大切」などという言説をよく見ました。
 しかし、ある時期から、この言葉はあまり聞かれなくなりました。ただし、聞かれなくなったのは「ムラ」や「ムリ」の二つで、「ムダ」については、今でも多くの会社が懸命になくそうとし続けています。
 もちろん、本当に無駄なことならどんどん辞めるべきでしょう。しかしながら、「ムダ」を削りまくったあと、さらにもっと「ムダ」を削ろうとするため、異常な事が起きています。
 たとえば、ベテラン社員に払う給料は「ムダ」だと言ってリストラし、その結果、会社の技術力が落ちてしまう、などという感じです。
 要は、「ムダ」を省くために「ムリ」をしているわけです。その結果、いくら「ムダ」を省いても、業務の環境は改善どころか改悪される一方です。
 実際、そのような「ムリ」を導入したために起きた事故や悲劇が頻発しています。
 この「無理をして『ムダ』を削る」という習慣が続く限り、働く環境は悪化する一方になるだろうな、と思っています。

  2016年10月19日 23:41