2016年10月18日

マッチポンプ

 朝日新聞は、「貧困に苦しむ人」のルポを定期的に載せています。その衝撃的な内容に対し、ネットでの反響も多いようです。
 しかし、読んでいると非常にひっかかるものがあります。当然ながら、貧困問題の原因の一つは、収入の低い人が、本来受けられるべき社会保障を受けることができない、というのがあります。
 朝日新聞の記事もそこに切り込んでおり、「公的機関がよりきめ細やかな対処をすることが必要なのではないか」という感じの「提言」が文末につくことが多々あります。
 しかし、公的機関が対処できないのは、別に彼らが暇なのにサボっているからではありません。そのような社会保障に関する予算・人員は削られているから対処しきれない部分が多々あります。さらには、「上の方針」でそのような困った人々を見殺しにする行政が行われている、という現実もあります。
 そして、朝日新聞は、前大阪市長に代表されるような、そのような事を行う政治家をもてはやしていました。要は、公的機関がきめ細やかな対処ができなくなる政治を批判どころか応援していたのです。
 にも関わらず、第三者に見せかけて、貧困問題を彼らに寄り添うようにする「報道」にはかなりの違和感があります。
 同時に、もし日本からこのような貧困問題がなくなったら、この類の記事を得意とする朝日の記者は残念がるのでは、などとも思いました。

2016年10月18日 23:54