2016年07月07日

「政治不信だから投票しない」=「信用出来ない相手へ白紙委任状を出す」

 参院選の投票日が近づいていきました。
 この時期のマスコミ報道の定番に「政治不信だから投票に行かない」という「有権者の声」を取り上げる、というものがあります。
 マスコミが長年にわたって繰り返し流しているので、この言説を真に受けている人も少なくないでしょう。しかしながら、ちょっと考えると、これは支離滅裂である事がわかります。
 投票を拒否する事により、「不信」な政治をやっている人を落選させることはできません。
 投票棄権者が増えると、むしろ、信用出来ない政治を行っている与党に有利になります。これは、かつて森首相(当時)が「有権者が寝ていてくれる(=棄権する)とありがたい」と言った事からも明らかです。

 つまり、棄権をする、というのは、権力者が最も喜ぶ行為なのです。
 なにしろ、投票する可能性がゼロ、という事は、権力者にマイナスの効果をおよぼす可能性がゼロだという事だからです。
 これは、白票や無効票についても同じことです。投じたほうは、抗議の意思表示をしたつもりなのかもしれませんが、その「意思表示」はどの政治家にも毛ほども届きません。
 そして、その棄権・白票・無効票がいくらあろうと、「不信」をつきつけられたはずの政治家は、より信に値しない政治を行います。

 契約において、「白紙委任」という言葉があります。これは、「相手が何をしようと文句を言わない」という意味です。
 さしずめ、選挙において、棄権・白票・無効票を投じるのは、白紙の契約書に署名捺印するようなもの、と言えるでしょう。後からどんな不利な事を書かれても、一切文句は言えないわけです。
 ではなぜマスコミは「政治不信なら棄権」と煽るのでしょうか。これは、各マスコミ幹部が、定期的に首相などの権力者と食事をともにしている、という事がヒントになるのではないでしょうか。
 いずれにせよ、政治不信で棄権をする、というのは、「信用出来ないはずの与党政治家を最も喜ばせる行為」であることは、間違いありません。

2016年07月07日 23:58