2016年06月17日

想像の斜め上をいく「新聞」

 テレビ番組の「街の人の声」で、A局とB局がほとんど同じ場所で同じ人に取材する、という事がありました。
 偶然、取材場所がかちあってしまったのでしょう。
 そして、当然ながら、その人は、どちらの番組でも同じ回答をしました。
 すると、その二つの番組を見ていた人が、「やらせでは?」などと騒ぎ出しました。

 ここまでならよくある、ちょっと間の抜けた話です。
 ところが、ここからその話は異常な方向に進展しました。
 その人が、ある政治的主張もしている団体のスタッフであり、これは、その団体とTV局が結託して行った「仕込み」だと、主張を始めた人が現れたのです。
 後で、「証拠写真」を見ましたが、そのインタビューされた人と、団体のスタッフは、髪の毛の色と長さ以外は誰がどう見ても別人でした。
 極めておかしい話ですが、残念な事に、これも日常茶飯時に近い「ネットデマ」です。

 さらにそれをネットで読んだ産経新聞の記者が、その「疑惑」をそのまま「記事」にしてしまいました。
 当然ながら、そのスタッフが所属している団体は産経新聞に抗議し、半日も経たずに記事は削除され、誤報を詫びる文書が代わりに掲載されていました。
 写真を見ればすぐに「別人」だと分かります。にも関わらず、産経新聞は、自社の嫌いな団体を貶めるために、それを「記事」にしたわけです。
 実は、産経新聞がこのような嘘を書くのも珍しい話ではありません。産経新聞的には、嘘でも、情報が拡散し、自社が嫌っている個人・団体の評判を落とせればいい、というスタンスなのでしょう。
 ネットで発生したデマを、商業マスコミが尾ひれをつけたわけです。
 インターネットの普及で、情報の送受信は非常に便利になりました。ただ、情報の品質という点においては、むしろ下がっているのでは、と常日頃思っています。それを象徴するような「産経新聞の誤報」でした。

2016年06月17日 23:44