2015年12月28日

夢の終わり

 記憶は定かで無いのですが、十年くらい前になるのでしょうか。
 その頃、年齢などの理由で、子どもを持つ事を諦めました。それと同時に自分は、相方と弟と三人で、末永くのんびり楽しく人生を過ごす、という「将来の夢」を自然と持つようになりました。
 それもあって、三年半前から今の仕事を始めました。自分と弟の経験・能力を活かし、「将来の夢」である、「三人でのんびり楽しく暮らす」を実現できると思ったからです。
 実際、弟は他の仕事と掛け持ちながら、こちらの仕事のために、本当に頑張ってくれました。
 大変な事が色々ありました。その疲れは、仕事が終わった後、弟と二人で飲んだ酒で吹き飛ばしていました。

 昨年秋からは、その「夢」に向けて、いくつかいい事もありました。そして、この秋からは、新たな計画を立て、より一層頑張ろうと思っていました。
 しかし、その計画を実行に移す前に、弟はこの世を去りました。
 その結果、色々な点において、今の仕事を続けるのは不可能だと判断しました。
 そういうこともあり、本日付で、今の仕事を終えることにしました。

 最後の業務が終わった後は、かつて弟と二人でよく飲みに行っていた店に行きました。「かつて」と言っても、ほんの数カ月前なのですが…。
 この店で頼むものは、常に決まっていました。
 当然、今日も同じものを頼んだのですが、飲んでも食べても、これまでと全く違う味がしました。
 改めて、美味しいのは「この店の酒や料理」でなく、「弟と一緒に飲み食いする酒や料理」だったのだな、と思いました。
 そんな事を思ったり、この店で弟と飲んだ時の事を思い出しながら、寂しい酒を飲みました。

 かつて持った、「相方と弟と三人で末永く楽しく暮らす」という「夢」は、もう絶対に叶うことはありません。
 というわけで、今日をもって、「自分の持っていた夢」に完全に幕を下ろしたのだな、と思いました。
 もちろん、これで自分が持っていた人生の目的が終わったわけではありません。
 年明けからは、新たな目標に向かって、フル回転するつもりでいます。
 それに向けて頑張る事により。弟も喜んでくれるのでは、と思っています。

2015年12月28日 22:17