2015年11月06日

現実離れしたドラマ

 所用で、公的機関の待合室に行きました。
 すると、NHKがついており、新たに始まるドラマの宣伝を流していました。
 まず、画面いっぱいに文字で「結婚する人が減った」とか「20代から30代で恋人のいない人の割合が増えている」みたいな文字が出てきました。
 どうやら、若者が恋愛・結婚ができない、という社会情勢を題材にしたドラマのようです。
 結婚はもちろん、恋愛する人も減っている理由など明白です。労働環境の悪化により、非正規の人が増えました。正社員も実質賃金が下がっている上に、労働条件は悪化し、多くの人が長時間労働を強いられています。

 そのあたりに切り込んだドラマでもやるのだろうか、と思いました。
 ところが、続いて紹介された舞台設定を見てのけぞりました。主人公は大手ネット通販企業の正社員、という設定です。
 そして、同じく「婚活」をしているらしい女性キャラは「年収が一千万円なければ」などと言っていました。
 四半世紀前のバブル期を舞台にしたのか、などと思ってしまいました。こんな設定でどんなドラマを作っても、最初に出てきた「結婚や恋人を持つ人が減った」という現象に切り込めるわけがありません。
 こんなドラマに何の価値があるのでしょうか。まあ、最近のNHKは、会話をうまく切り取って、現実と正反対の印象を持たせるような「報道」を得意としています。
 それと同じ手法で、「若者が恋愛や結婚しないのは、低賃金・長時間労働・不安定な雇用ではない」と視聴者に刷り込むために作ったドラマなのかも、などと思いました。

2015年11月06日 23:17