2015年11月03日

菩提寺

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 我が大野家の先祖代々の墓は、八王子にあります。
 当然ながら、物心ついた時から、このお寺には行っていました。
 八王子の他の所は全く分かりませんが、駅とこのお寺の間だけは、頭のなかに地図が入っています。
 最近はあまり墓参りにも行っておらず、調べてみたら5年ぶりでした。
 しかしながら、寺までの道は頭の中に入っており、最短経路で行くことができました。

 今日の目的は、先日、急逝した弟の納骨でした。
 弟は無宗教で、両親はクリスチャンなのですが、先祖代々の墓に入るということで、仏教式の供養を行い、また戒名をつけ、位牌も購入しました。
 弟も、まさか自分に戒名がつくなどとは、夢にも思っていなかっただろうな、などと思いました。

 これまで、何十回も墓参りのためにこのお寺に行っていました。
 子供の頃は、ちょっとした家族での遠出でした。大人になり、兄弟姉妹がだんだんと親元を離れたあとは、たまに家族で会って食事をする、という感じになっていました。
 というわけで、どちらかというと「楽しい行事」だったのですが、今日は違いました。
 お寺の建物や境内の風景は、自分が初めて来た四十数年前とほとんど変わりません。上を見れば、きれいな青空でした。
 しかし、今日の風景は、これまでの墓参りの時に見た風景と全く違うものであるかのように見えました。
 同じ風景でも、楽しい時と悲しい時では、見えかたが違うのだな、と思いました。
 ただ、弟は最後まで幸せな人生を過ごしていたと、自分は確信しています。
 大切な存在を失った辛さを消すのは困難ですが、彼に余計な心配をさせぬよう、頑張って行かねば、と強く思いました。

2015年11月03日 19:58