2015年08月25日

無理矢理な「史上初」

 福井で、新幹線用に駅を造ったものの、当分の間、新幹線がつながる見込みが無いので、地元のローカル施設に駅と高架路線を暫定的に貸し出す、というニュースがありました。
 これについて、「県によると、新幹線の駅施設を別の鉄道が借用するのは、全国でも他に例がないという。」などという報道を見かけました。
 なんか、これだけ読むと、「史上初の凄いことを成し遂げた」かのように見えます。しかしながら、ちょっと詳細を知れば、かなり違う認識をもたざるを得ません。

 不思議な事に、新幹線の福井駅は6年前の2009年に完成しています。ちなみに、福井駅に北陸新幹線が延伸されるのは2023年の予定です。
 つまり、計画通りにいっても、北陸新幹線の福井駅は、開業時点で「築14年」となってしまっているわけです。
 普通に考えれば、14年後まで電車が来ないのに、駅を造る、などという事はありえません。まあ、色々な利権があり、その結果、このような珍事が起きたのでしょう。
 そのような「遊休施設」の暫定利用として、この「新幹線駅を私鉄が利用する」が実現したわけです。したがって、「全国でも他に例がない」は、「快挙」ではなく、「恥ずべきこと」だとしか言いようがありません。
 にも関わらず、これを「凄いこと」であるかのように各社が記事にしているのに、驚きました。
 あと余談ですが、確かに、「新幹線の駅を他社の鉄道が利用する」というのは史上始めてです。しかしながら、今から50年ほど前、東海道新幹線が開業する直前に、並走する阪急京都線が、高架化工事の暫定路線として新幹線の線路を使う、という事例はありました。
 それを知っている身としては、福井県の「全国でも他に例がない」という談話は、より間が抜けて聞こえました。

2015年08月25日 23:56