2015年09月17日

民主政治と多数決

 一応、大学の政治学科を卒業した身として、非常に不思議なことがあります。
 それは、少なからぬ人が「民主主義=多数決」などという不可解な説を披露している事です。
 民主政治(大学時代の教授に民主「主義」という言葉は適切でないと繰り返し言われたので、この言葉を使います)が多数決だったら、政治は非常に簡潔化できます。
 議会で一議席でも多数派を握った勢力が、なんでも多数決で決めればいいわけです。それこそ、「議会制度を廃止し、自分は永久に独裁権力者になれる」「反対する勢力は公民権を剥奪する」でも決められてしまいます。

 もちろん、それが民主政治ではない事くらい、ちょっと考えれば分かります。
 大前提である憲法は守らねばなりませんし、論議した結果、おかしければ、多数派の提案でも実現されません。だからこそ、「多数派独裁」は実現しないわけです。
 ところが、今の政治業者やマスコミを見ていると、本気で「民主主義=多数決」と思い込んでいる人が多いのでは、と思えてしまいます。
 それが、今日のような「採決にもなっていない強行採決」などを引き起こすのではないでしょうか。
 どこでどう間違えたか分かりませんが、そんな勘違いをしたまま、議員や報道者になられてはたまったものでありません。
 日本が民主国家であり続けるためにも、実は「民主主義≠多数決」である、という常識をもっと強く広める必要があるのでは、と思いました。

2015年09月17日 23:10