2015年07月07日

誰もが失敗すると分かっていても推進されるもの

 五輪にあわせて国立競技場が改築されます。その工費が2520億円になる、という発表がありました。
 もちろん、これは現時点の金額です。この類の「建築費」は作業が始まったあと、予算以上に膨らむのは定番です。それに加え、今後の維持・改築のために1000億円かかる事も確定しているそうです。
 それだけの大金が投じられるわけですが、それが国民生活に役立つ可能性はゼロと断言できます。
 「経済効果」は受注したゼネコンの内部留保と、それによって株価が上がる事によって得した投資家(含・外国人投資家)にしか及びません。
 一方、建築費用の増加が税金で賄われ、その分を福祉削減で賄おう、という動きが出てくるのも火を見るよりも明らかです。

 10年前に五輪を開催し、過剰な投資で競技場を作ったギリシアが、そのツケで現在どうなっているかを見れば、よくわかるでしょう。
 にも関わらず、このような無謀な計画を進めるのですから、呆れるよりありません。
 もちろん、これを通すことにより、担当者はいい思いができるのでしょう。そのツケを多くの国民が支払わされるわけです。
 80年前の戦争をはじめ、これまで、色々な形で「失敗するのが明らかであるにも関わらず実行して予想通り失敗した」という事例がありました。そのなかでも、この「新国立劇場」は桁違いの失敗例になりそうです。
 それが目の前で進む事に、忸怩たる思いがあります。無力な一個人ではありますが、何とかできないものだろうか、と思ったり考えたりしています。

2015年07月07日 23:36