2015年05月02日

ベストセラーその後

 しばらく前に、偏差値の低い女子高生が、優秀な塾講師の指導で成績を急上昇させ、有名大学に現役合格した、という本が話題になりました。
 ところが、記載内容からその女子高生の所属校を調べた結果、彼女は元から優秀な中高一貫校に通っており、その中で偏差値が低かっただけなのでは、と疑問を提示した人がいました。
 真偽の程はわかりませんが、元々いい学校にいれば、「学校での成績が悪い人が一気に成績を上げて有名大学に行く」は、珍事とは言えません。
 たとえば、灘高校や開成高校で成績下位の生徒が頑張って早稲田や慶応に入っても、驚く人はほとんどいないでしょう。

 別にこの本の真実がどうなのか、はさほど興味がありません。
 ただ、この類の「爆発的に売れた本」については、前から気になっている事がありました。
 たとえば、何年か前に爆発的ヒットをした本に「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」というのがありました。
 マスコミが大きく取り上げた事もあり、売れに売れたはずです。しかしながら、自分の知る限り、「この本を読んで経営に役立てた」とか「この本のおかげで所属している野球部が強くなった」という話は一回も聞いたことがありません。
 また、この本は表紙が「萌系の絵」というのが話題になりました。しかしながら、このキャラである「野球部マネージャー」の名前を知ることはついぞありませんでした。
 普通にヲタ趣味を持っていれば、話題になっているキャラクターの絵と名前は、作品を見なくても、自然と情報として入ってきます。しかし、このキャラに関しては、それは一切ありませんでした。
 この本は売れたのは確かですが、それを実践して役立てたり、そのキャラにハマった人はいなかったのでは、と思わざるをえません。

 こうやって考えてみると、メディアがもてはやす本が、本当に有用なのか、と思わざるを得ません。
 改めて、本を選ぶには、安易に流れている情報をあてにせず、自分でしっかり考えて選ぶ必要があると思いました。
 同時に、それが普通にできるためにも、町の本屋並びに図書館の充実は重要だな、とも思いました。

2015年05月02日 23:58