2015年04月02日

シュミレーション

 とある株式会社と打ち合わせがあり、応接間に通されました。
 待っている間に壁を見たら、10箇条からなる社訓と思しきものが掲示されていました。
 えらく面倒な事を社員に求める内容となっており、そこで働いている人に同情したくなったほどでした。
 その中の一つに「シュミレーションを繰り返せ」などというものがありました。
 元の言葉は「Simulation」ですから、カタカナで書けば正しくは「シュミレーション」ではなく、「シミュレーション」のはずです。

 確かに、この書き間違いはよく見かけます。しかしながら、外部の客が見るところに堂々と掲げているのは初めて見ました。。
 普通の組織なら、トップが「シュミレーション」という原稿を書いても、誰かが「正しくは、シミュレーションです」と指摘し、修正されるでしょう。
 それがないという事は、他の全社員も「シュミレーション」だと信じているか、社長の誤記を指摘できない環境なのかのいずれかでしょう。
 前者は相当ありえないので、後者と考えるのが自然です。
 自分も、以前いた零細企業で、社長がとんでもない無意味な命令を出した際に「それって意味が無いですよ」と言ったら、即座に「俺の言うことが聞けないなら、いつでも辞めてもいいよ」と言われた事がありました。
 もっとも、今の世の中を見ていると、こんな事よりもずっと大きな規模で「皆がトップの力に屈しているため、どう考えてもおかしい事がまかり通ってしまう」という現象が起きています。
 それを考えれば、この「『シュミレーション』と堂々と応接間に掲示する」は、時代の縮図みたいなものなのだろうな、などとも思いました。

2015年04月02日 23:32