2015年03月14日

浮世絵で日本再成長?

 ちょっとしたつきあいで、ニュース番組などでコメンテーターをやっている人の講演を聞く機会がありました。
 演題は「総選挙後の政治・経済・アジア ~日本は再成長できる~」となっていました。
 ところが、冒頭から、日本の人口はどんどん減っていくとか、もう十何年かするとGDPが中国の半分になる、などと「日本の再成長」と正反対の話が続きました。

 特に、1990年の世界の企業の時価総額ランキングは、日本の銀行が独占していたのに、いまやその中には潰れたものもあり、残った銀行も皆合併し、当時の名前が残っている所はない、と聞いた時は、改めて時の流れと、それに伴う凋落を感じさせられました。
 いったい、どうやって表題との整合性を取るのだろうか、と思いながら聞いていました。
 すると、あるところから、「日本には独自の高い技術がある」と言い始めました。色々なところで、さんざん読み飽きた「技術大国論」です。
 その中で、特に熱弁していたのが、「北斎や歌麿の浮世絵」でした。
 なんでも、あの浮世絵の色は、日本でしか出せなかったそうです。そして、当時の西洋の画家も、浮世絵の影響を受けていた、との事でした。
 それは確かに素晴らしいと思います。
 しかしながら、そんな数百年前の文化を熱弁されても、それで「日本は再成長できる」と思う人はいるのだろうか、と思いました。
 ちなみに、この講演会の主な聴衆は、近所の中小業者です。いくら「日本が優れている」と言われて自信を持ったとしても、いきなり外国相手に「日本人の優れた点」を活かした新事業を起こせる人は、極めて限られています。
 というわけで、かなりのピンぼけ感があった講演会でした。

 自分的には、日本が成長するかどうかよりも、現状の日本において、どうやって効率よく分配するか、を求めるべきでは、と思っています。
 贅沢は無理でも、皆がほどほど余暇を楽しみながら普通に暮らせる、という事ができれば、ゼロ成長でもマイナス成長でも、世の中は幸せに回るのではないでしょうか。

2015年03月14日 23:04