2014年11月01日

もぬけの殻

 17年前に幕張本郷に越してきた時、二つの食料品店がありました。ひとつは、リブレ京成という、名前の通り、大手私鉄のグループのスーパーです。
 もう一つは、リブレ京成より我が家にちょっと近い、「ビックリ」という変わった名前の小型スーパーでした。
 さらに、駅の向こうに、農協系のスーパーがありましたが、こちらは、越してきて数年で潰れました。
 「ビックリ」は名前の通り、びっくりするほどの安さが売りでした。すぐ近くにあるリブレ京成より、野菜も肉も魚も惣菜もかなり安い値段で提供していました。
 そういう事もあり、愛用していました。

 そこそこ繁盛していたようですが、駅の向こうに業務用スーパーとワイズマートという二つの店が相次いで開店した頃から流れが変わりました。特に、業務用スーパーという激安系ができたことは、同じ路線の「ビックリ」にとっては大きかったようです。
 肉と魚の部門を閉鎖し、野菜と惣菜に特化したのですが、これも結果的には逆効果でした。
 ならば一つの店で全部買えるなら、わざわざビックリに寄らなくて、リブレ京成で全部買えばいい、という考えになってしまったのです。その結果、我が家でも「ビックリ」で買い物をする件数は激減しました。
 とはいえ、貴重な我が家の「最寄りスーパー」です。何かあるごとに、顔を出してはいました。
 今週も月曜日に店の前を通り、おかみさんに挨拶をしました。いつもとそんな変わらない雰囲気としか思っていませんでしが、結果的に、それが最後の挨拶になりました。
 昨日も、普段と同じ感覚で店の前を通ったのですが、営業していませんでした。不思議に思って店の中を覗いたのところ、棚には何もありませんでした。「もぬけの殻」になっていたのです。
 しかし、入り口には閉店や臨時休業の挨拶は掲示されていませんでした。「夜逃げ」に近い状態だったのでしょうか。
 確かに最近は、いつ行っても、他のお客さんはほとんどいませんでした。大丈夫なのか、と心配してはいましたが、いつ行っても、普段通りに商品が並んでいたので、何とかなっているのだろうな、などと思っていました。
 やはり、今年になってからの物価高と増税がトドメになったのでしょうか。
 最近は足が遠のいてはいましたが、17年間お世話になっていた店です。それだけに、もぬけの殻になった店内を見た時は、強い驚きと寂しさがありました。

2014年11月01日 23:59