2014年07月21日

「家事ハラ」なる言葉を普及させようとしている会社

 旭化成ホームズとかいう住宅会社が、「家事ハラ」なる言葉を発表しました。よほど普及させたいのか、わざわざ鉄道車両を借りきって、その言葉を宣伝するそうです。
 で、その「家事ハラ」なるものが何かと言うと、男性が家事をした際に、配偶者の女性にダメ出しされた事だそうです。それを、性的嫌がらせである「セクハラ」や、職場での力関係をタテに悪質な人権侵害を行う「パワハラ」と同一視しているわけです。
 この「調査」で一番不可解に思ったのは、なぜ「妻」が「夫」に対するダメ出しばかりを調査したのだろうか、という事でした。
 憲法24条に明記されているように、婚姻において、夫婦は同等の権利を有しています。
 したがって、「家事ハラ」なるものの調査をするならば、逆のパターンである、女性が家事をした際に配偶者の男性からダメ出しされた例も調査するのが普通です。しかしながら、この「家事ハラ調査」なるものに、そのような調査結果はありませんでした。

 実際、食事の味が気に入らなかったり、他の事で機嫌を損ねたりした男性が、せっかく女性が作った料理を「ちゃぶ台返し」などで全否定する、というのは、ある種の「日本の伝統」だったわけです。
 そのような現状があるなか、このような女性のみを「悪者」にするような恣意的な「調査」を行い、さらにそれを大々的に発表したこの会社の神経を疑いました。
 ちなみに、この件で検索をかけたところ、ネットで多く批判されており、その事を広報部に尋ねたところ「広報担当者は『大変申し訳なく思っております』と話した。」と書かれていました。
 ところが、旭化成ホームズなる会社のサイトをみたところ、トップページの新着情報の一番上にはいまだにその「家事ハラ」なる「調査結果」へのリンクがありました。記事を見ても、批判に対するお詫びの類は一切載っていません。
 つまり、広報が「申し訳なく思っている」と取材した所に言ったことが、会社のサイトに全然反映されていないわけです。
 世の中には酷い会社もあるものだ、と呆れました。同時に、金さえ出せば、そのような会社の歪んだ「調査結果」が電車をはじめ様々な媒体で流すことができる、という事がまかり通っている世の中に自分がいる、という事を再認識させられました。

2014年07月21日 21:12