2014年07月09日

数日で崩壊した「社会」

 朝、出勤したら、職場の植え込みに、食べかけのアイス菓子のカップが落ちていました。不法投棄した輩がいたようです。
 そこには既に、小さいアリがわんさか群がっていました。なんだかな、と思ったのですが、下手に触って、職場の中にアリが入ると面倒なので、放置していました。
 そして、翌朝植え込みを見たら、なんとそこにアリが巣作っていました。まさか、こんな簡単にアリが巣を作る場所を決めているとは思わず、ちょっと驚きました。
 まあ、植え込みに巣を作っても別に実害はないと思い、食糧源であるアイス菓子のカップともども放置しておきました。

 ところが、その晩、雨が振りました。すると、アイス菓子の蓋には水が溜まっており、中では大量のアリの溺死体が浮いていました。
 その時点では、まだ巣の方ではアリは忙しそうに動いていました。しかし、次の朝に見てみたら、巣はもぬけの殻になっていました。
 植え込みの部分は土ですが、そこから離れればあとは舗装された道しかありません。アイス菓子のカップがない今、アリが食料を得るのは至難の技です。したがって、このような結末になるのも仕方ないところでしょう。
 思わぬ形で、ひとつの社会の成立から崩壊までを見ることができたと思いました。
 その時は、たかがアイス菓子のカップ一つで、巣まで作るのは無理があったよな、と思いました。
 しかしながら、長いスパンで見れば、アリのことを笑うことができません。たとえば、この50年くらいを見ても、炭鉱があった街は、一時期は大いに栄えたものの、今は廃墟のようになっているわけです。
 46億年の歴史を持つ地球の観点からは、数日で構築・滅亡した植え込みのアリ社会と、20~30年の間に、構築から隆盛、さらには衰退までの道をたどった炭鉱街には何ら違いはないでしょう。
 そんな事を感じさせられた、この数日間に見たアリの巣の栄枯盛衰でした。

2014年07月09日 01:37