2014年04月10日

「IT革命」がもたらしたもの

 1990年台半ば、インターネットやWindows95の普及をきっかけに、「IT革命」という言葉が席巻しました。
 その結果、世の中は非常に便利になりました。自分も、そのちょっと前に社会人になったのですが、「IT革命」以前と以降では、仕事の速度・効率は全くもって変わりました。
 しかしながら、便利になった割には、働く人は楽になりませんでした。
 かく言う自分も、当時かなりPC関係の勉強をし、色々な効率化を行いました。しかしながら、その結果、余裕をもって休めるようになった、などという事はありませんでした。むしろ、パソコンやサイトの管理のため、休みが潰れたり、持ち帰りの仕事が増えるようになりました。
 世間全般も同様のように思われます。以前よりも、夜遅くまで電気がついているオフィスビルや、日付けが変わる頃になっても続く帰宅ラッシュ、などというものが目立つようになりました。

 その原因の一つとして、「IT化」の際にセットで論じられる「費用対効果」があったのでは、と最近になって気づきました。
 高い金をかけてパソコンやサーバー、さらにはソフトウェアを購入する際に、多くの経営者は「それだけ金をかけたのだから、その分、人件費が削減できる」という発想を持っていたように見受けます。
 実際、「IT化」にあわせて「人減らし」が行われてきました。

 日本は1997年以降、働く人の平均給与が下がり続けている、「先進国」の中で唯一の国となっています。要は、「IT革命」が進むにつれ、働く人の待遇は下がり続けていったわけです。
 もちろん、「IT化」のみが原因ではないでしょう。とはいえ、少なからぬ要因とは言えるのでは、と思っています。

 もし、「IT革命」の際に、「これだけ費用をかけたのだから、それだけ人件費を減らせる」ではなく、「これだけの費用をかけてパソコンなどを導入して便利になる。ならば、その分、浮いた時間で社員の勤務時間を減らしたり、休日を増やそう」という発想になっていれば、このような状況にはなっていなかったのではないでしょうか。
 その分、企業の営業利益だの内部留保だのは減ったかもしれません。しかしながら、その分、働く人の余裕と健康、さらにはその人達が市場に落とせるお金が増えていたのではないでしょうか。
 あれほど便利になりながら、どう見ても豊かになってはいない世の中の現状を見て、ふとそのような事が頭をよぎりました。

2014年04月10日 23:27