2013年04月17日

非常識な暴力行為を持ち上げる「報道」

 昨日の野球で、判定に不服を持った監督が審判に体当たりをして退場となり、その後、チームが逆転勝ちした、という試合があったそうです。
 それに対し、各スポーツ紙は皆、監督の体当たりを「チームを勝利に導いた行動」としてもてはやしていました。
 もちろん、これは昨日の試合にはじまった事ではありません。監督が審判に暴力を奮って退場し、その結果その監督が率いるチームが勝った場合、たいてい、このような形の報道がなされます。

 しかしながら、これは称賛すべき事なのでしょうか。
 野球に限らず、審判のいるスポーツは、その判定によって勝敗が決まります。その判定が不満だから暴力をふるう、という事は、「自分のチームにとって不利な判定をすると痛い目に遭うぞ」という脅迫でしかありません。
 審判がいるスポーツが成立する大前提は、「審判が不当な圧力に屈することなく、公平に判定を行える」という事です。今回の件も含め、暴力行為というのはその前提を破壊する行為です。
 だいたい、こんな事は一般社会で通用しません。暴力団と同レベルの行動です。
 しかしながら、スポーツ紙はこれを「熱血行為」として称賛するわけです。
 確かに、野球に限らず、一部のスポーツでは、伝統的にこのような暴力が容認・称賛され続けていました。
 しかしながら、現在、その歪み・ひずみが色々な形で出ています。昨年はその体質のせいで、若い有望な少年が自ら命を絶つ、という悲惨な事件までおきました。
 にも関わらず、このような旧態依然の「暴力称賛報道」が続けられているわけです。
 改めて、商業マスコミというものの能力の低さ、有害無益さを痛感させられた一連の「報道」でした。

2013年04月17日 19:50