2013年03月21日

「安い輸入農産品」の代償

 何十年も前から、「農産物の輸入を自由化すれば安くて美味しい輸入品が食べれる」という宣伝が、マスコミを通じて行われ続けています。
 これを真に受けてしまい、「農産品などどんどん輸入すればいい。自給率の低下など知ったことではない」と考えるようになってしまった人も少なからず存在します。
 ところが、この宣伝には、かなり重要な事が抜けています。
 日本の農家が生産物を売れば、そのほとんどが国内で消費されます。したがって、それが、地元を中心に、様々な産業の収益に寄与します。
 つまり、国産品を買えば、その金は国内を循環するわけです。
 一例を挙げると、千葉には落花生の包装紙を作っている業者がいます。もし千葉産の落花生が、輸入物に駆逐されたら、この人の生活の糧もなくなるわけです。当然ながら、その人に袋の原料を卸している業者や、その人の近所の商店なども、売り上げが減るわけです。
 一方、輸入品の場合は、海運業者や商社など、ごく一部を除けば、その売上げは国外に出て行ってしまいます。つまり、いくら売れても、国内に波及効果はないのです。
 したがって、「安いものを食べれる」には、「国内に回る金が減る」というという代償があるわけです。

 しかしながら、その代償について報じられる事はありません。何故ならば、商業マスコミにとって、「農産物の輸入促進」を宣伝すると儲かりますが、その代償を報じても儲からないからです。
 もちろん、実際に日本の農業が衰退すれば、お金の循環の悪化により、結局は日本のマスコミにも影響は生じます。実際、この長い不況で、商業マスコミもかなり利益を下げています。
 にも関わらず、彼らは、目先の利益より先の事を考える能力はありません。そのため、そのような宣伝を続けているわけです。
 そのあたりを考えずに、報道を真に受けてしまうと、巡り巡って自分に損が回ってきてしまうわけです。もちろん、これは農業に限った事ではないのですが・・・。

2013年03月21日 23:50