2013年02月13日

「薩摩の守」と「出羽の守」

 ツイッターを見ていたら「薩摩の守」「出羽の守」という言葉が出て来ました。何かの地口なのでしょうが、聞いたことがありません。
 そこで調べた所、似たような言葉ですが、意味も由来も全然違うことが解りました。
 「薩摩の守」というのは、平家物語に出てくる、平清盛の異母弟にいた、薩摩守忠度(ただのり)、という人に由来しているとのことです。
 その「忠度」が転じて「タダ乗り」となり、不正乗車を意味する隠語になった、とのことでした。
 狂言にも出ているそうで、伝統的な地口と言えるでしょう。

 一方、「出羽の守」は、物事を論じる時、「外国の例では・・」などと、「では」という言葉を用いて他の例と比較して論じる人のことを揶揄した言葉だそうです。「薩摩の守」とは異なり、最近になってできた言葉のようです。
 常に他の例のほうが正しいとは限りません。とはいえ、何かを考える時、他の例と比較して考えるのは、独善を避けるために当然の事です。
 それを揶揄するというのは、いかがなものかと思いました。ある意味、この言葉で他人を批判するのは、「自分は狭い視点でしか考えることができない人間です」と宣言しているようなものでは、と思いました。

 いずれにせよ、あまりセンスのいい言葉ではありません。また、鹿児島や山形の人にも失礼な言い回しです。
 既にかなりマイナー化しているようですが、このまま、使う人が減って、自然消滅してもいい言葉なのでは、とも思いました。

2013年02月13日 22:01