2012年12月17日

分かりやすいリスク表示?

[ 漫画 ]

 魔法少女まどか☆マギカ MasterCard UPtyという広告が載っていました。宣伝バナーでは、キュウべえが「僕と契約してカード会員になってよ」と言っています。
 作品を知らない人のために説明しますと、このセリフは、宇宙から来た謎の生物「キュウべえ」の「僕と契約して魔法少女になってよ」が元になっています。
 彼の勧誘に乗って契約すると、どんな願いでも一つだけかないます。しかし、その代償として闘いを強要され、最後には魂が燃え尽きます。その際に発する膨大なエネルギーをキュウべえが母星に送る、というシステムになっています。
 つまり、作品において、「無垢な少女を騙して契約を要求する」という台詞を、そのままカード契約勧誘の宣伝文句に使っているわけです。

 そして、バナーをクリックしてカードの宣伝ページを見ました。すると、フィギュアが当たるとか、オリジナルプレミアムカードが当たる、といった「特典を約束して取り入ろうとする」宣伝が並んでいました。
 それらの特典の下に、小さめな字で「このカードは『リボ払いタイプ』のカードで、自分にあわせたお支払い金額を設定することができるため、翌月一回払いと同じような使い方をすることもできます」などと書かれていました。
 リボルビング払いというのは、分割払いで一回あたりの支払いは減るものの、利息がつく、という制度です。細かい規定はよく分かりませんが、普通に考えれば、このカードで買い物すれば、必ず利息を取られるわけです。
 一見すると、無利息である翌月一回払いもできるみたいですが、よく見ると「同じような」と書かれています。
 しかも、リボ払いだと、一回あたりの支払額が少ないため、「浪費してしまった」という意識が持ちにくくなります。その安心感(?)と引換に、利息を払わされるわけです。
 ちなみに、JCBには支払額を試算するサイトがあります。そこで計算した所、毎月1万円支払う契約の人が12万円の商品を買うと、1年で9千円以上の利息を払わされるい、との事でした。

 そう考えると、作品における「契約」と、この「カード契約」はかなり共通点が多いと言えるでしょう。
 仮にこれに契約した挙句、カード破産をした人が出たら、「この国では、リボ払いで無茶な買い物をして破滅した人を『カード破産者』と呼ぶんだろ、だったら、やがてカード破産者になる君たちのことは『カード会員』と呼ぶべきだよね」という、キュウべえのイラスト入りメッセージでも会社のほうから送ってくるのだろうか、などと思いました。
 まあ、キュウべえが「僕と契約して○○になってよ」と言う時点で、一時の喜びと代償にとんでもないリスクを背負う契約である事くらい、「魔法少女まどか☆マギカ」を見た人なら分かるはずです。
 にも関わらず、こんな広告を出しているわけで、ちょっと驚かされました。まあ、好意的に解釈すれば、「リスクを正直に提示している良心的な広告」とも言えるのですが・・・。

2012年12月17日 23:52