2012年07月12日

「天に代わる」権利

 時代劇などで、よく「天に代わって」などと言って「悪人」を斬殺する主人公がいます。ここでの「天」は「天網恢恢疎にして漏らさず」の天、すなわち「神」を意味しているようです。したがって、彼らの決め台詞は「神に代わって悪人を殺す」という意味になります。
 実際、主人公に殺される悪人は、殺人をはじめ、様々な悪事を、凶悪な台詞をいいながら行います。したがって、視ている人も、「主人公による『裁き』は当然だ」と思う人がほとんどなわけです。
 しかし、よくよく考えてみると、この人は「自分は神(=絶対的な審判者)になりかわる権利がある」と自分で勝手に決めているわけです。
 現実世界において、そのような事を自ら決めている人は、ろくな事をしません。17年前に都心でテロを起こした宗教団体なども、自分たちの行動は「神」の意思によって行った、と思っていたわけです。
 なにしろ、自分が絶対者だと思いこんだ以上、どんな事でも、自分の感情でできてしまうわけです。
 そのような事を考えながら、改めて、「天に代わって」などと言って「悪人」を斬り殺すような輩を「正義の人」みたいに描く、というのは異常なことだよな、と思いました。

2012年07月12日 23:34