2011年06月07日

ある老人の独り言

 電車に乗っていたら、隣に老人が座ってきました。一人で乗ってきた感じなのですが、座るやいなや、「今の若い人はいいねえ!」と大声で語り始めました。
 私も含め、周りの人は関わりたくなくて聞こえないふりをしていました。そんななか、その人は、自分が有名製薬会社の重要なポジションで70歳までひたすら働き続けた、などと語っていました。
 それが本当なら、取締役→顧問、という感じで70歳まで会社にいた事になります。つまりは、かなり成功した人なわけです。
 それほどの人が、電車の中であてもなく話し相手を求め、しかもそこで語れる「70年以上の人生」が仕事だけなわけです。聞いていてかなり寂しいものがありました。
 また、そう感じつつも同時に、雇用を始め、さまざまな点で切り捨てられている、少なからぬ「今の若い人」と比べれば、この老人の空しい現在のほうがまだ幸せなのかもしれない、とも思いました。

2011年06月07日 21:11