2010年09月25日

永久追放者の戯言

 大リーグでイチロー選手が、日米通算3,500本安打と10年連続200本安打を立て続けに達成しました。それに伴い、大リーグでの安打記録保持者である、ピート=ローズ氏の談話が紹介されます。
 ところが、その談話の内容があまりにも品がなさすぎます。安打数を日米で通算することについては「日本の野球は3Aレベル」などと、30年くらい前の価値観で「論評」していました。さらに、イチロー選手の安打に内野安打が多いことを揶揄(?)し、「世界で最も幸運」などと言ったそうです。

 日本人の野球記録と言うと、王貞治現福岡会長による本塁打記録が有名です。それに対し、「追いぬかれた」ハンク=アーロン氏をはじめ、多くの大リーガーは、率直に賞賛していました。それだけに、このローズ氏の反応には驚くと同時に、その発言の程度が低いことにかなり呆れました。
 そこでで、ちょっと調べたところ、氏は引退後に監督をしていた際に野球賭博にのめりこんで永久追放されていることが分かりました。なんでも、自ら監督をしているチームすら賭けの対象としていたそうです。
 もちろん、どのような行状があろうと、選手としての能力および達成された記録に変わりはありません。しかしながら、スポーツ界に生きる人間としては最低としか言いようがありません。
 それを前提として読めば、冒頭の「論評」や「揶揄」は、自分が過去に築いた栄光に固執せざるをない、スポーツマン失格となった輩が、それを追い越す可能性を持つ選手を不当に中傷しているだけでしかない、という事が分かります。
 にも関わらず、なぜか日本の報道では、「彼は野球賭博に手を染めて球界追放状態になっている」という事が書かれていませんでした。そのローズ氏の経歴をつけずに発言をそのまま報じては、これがあたかも「大リーグで実績を残した人の一般的見解」であるかのように誤解されかねません。誤解を生じさせないためにも、氏が行った野球賭博の「前科」も記載した上で発言を紹介すべきなのでは、と思いました。

2010年09月25日 02:11