2010年08月24日

「週刊誌に載せる」という脅しとその結果

 野球賭博事件で、容疑者が力士にどんな内容で恐喝をしていたかが報道されました。それによると、3月末に「力士や親方が野球賭博に関係している証拠を持っている。週刊誌に実名と写真を載せる。1億円払って引き取れ」などと要求し、現金を脅し取ろうとしたとのことです。
 そして、実際に被害者の親方や力士(いずれも当時)は1億円は払わなかったそうです。
 そうなると、脅したものの金を得ることのできなかった容疑者たちが何をしたか、という事が気になります。つまり、この脅し文句を実行したかどうか、ということです。

 実際問題として、この件は週刊誌に掲載され、恐喝されていた親方や力士は解雇処分となりました。
 この事実から推測すると、金を取れなかった容疑者達が、実際に週刊誌に売り込んで、実際に掲載された、となります。
 もしそうだとしたら、今後、似たような恐喝を行う人たちは、「あの親方や力士は、警察に相談して金を払わなかった結果、週刊誌に報じられて解雇された。彼らのようになりたくなければ、おとなしく金を払え」という脅し文句がより効果的に使えるということになります。
 賭博はもちろんよろしくない事です。しかしながら、このような脅迫システムが成立する事のほうがずっと問題でしょう。この推測が正しければ、週刊誌は脅迫の片棒を担いだ事になってしまいます。
 確か、この件を報じた時、掲載した週刊新潮は「角界浄化」などと報じていました。その「浄化」の意志が本物ならば、ぜひとも、今回の取材源を明らかにしてほしいものです。
 そうでないと、この元力士も関係したとされる悪質な脅迫の全容が明るみに出ず、「角界の闇」が放置されてしまいます。報道の目的を達成するためにも、この「週刊誌に載せる」という脅しの結果がどうだったかをきちんと報じるべきでしょう。

2010年08月24日 23:58