2012年06月25日

ファーストサーバ事件

 ファーストサーバというホスティング会社が、一部ユーザーのデータを全部喪失してしまった、というニュースを見ました。企業のサイトやWEBシステムなどが全て消えてしまったわけです。
 さらに、この会社はサイボウズを用いたASPサービスもやっていたとのことです。そこに登録した、社内メッセージ・各自の予定・掲示板なども同様に全て消えてしまいました。
 自分も前職で、グループウェアを使っていたのですが、それが落ちるとグループ会社全ての仕事が止まります。
 その時にいた会社では、サーバは自社運用していましたが、ちょっとでも止まるとすぐ大騒ぎになりました。あの3月11日の時も、サーバの電源ケーブルが抜けて、落ちてしまいました。それに気づいた時は、余震の恐怖を感じながらも、整理されていないサーバ室に潜り込んで、復旧作業を行ったものでした。
 それだけに、サイボウズを使っていて被害に遭った企業が受けた損害はかなりのものだと想像できます。

 先方のアナウンスでは、「ユーザーが自分でバックアップしたデータがあれば復旧できる」との事でした。
 しかし、これは現実的に難しいでしょう。業務にとって極めて重要なグループウェアサーバの運用を他社に依頼する、という事は、それだけシステム管理要員が不足している、という事です。
 したがって、外出ししたサーバから細かくバックアップを取り、別途ローカルに保管する、という事は現実的に難しいでしょう。そんな要員がいるなら、最初から外部サーバでグループウェアを運用しないと思います。
 というわけで、被害にあった企業のこれからを思うと、他人事ながら愕然としました。

 報道によると、事故の原因は、ミドルウェアの修正パッチを当てた際の不具合とのことです。したがって、ファーストサーバという会社もある意味被害者とはいえます。
 しかしながら、もし熟練した技術者が、余裕をもって作業をしていたら、このような事故は回避できたのでは、とも思いました。
 もちろんその会社の内情は分かりません。とはいえ、今の「人を減らして利益を出す」という企業全般における傾向が影響していないとは思えません。
 原因は全て解明されていないので断言はできませんが、そのような日本全般に蔓延している「人件費削減で営業利益向上」体制が生み出した悲劇なのでは、と思っています。
 そして、この傾向が変わらない限り、同様の事故はより一層悲惨な形で発生しそうだ、とも思いました。

2012年06月25日 23:46