2011年10月17日

誰一人納得できないでっち上げ

 大学の野球部員が、あるプロ球団のコーチからトレーニングのメニューを貰っている、というような内容の記述をブログにした、という事を数日前のニュースで見ました。
 野球界には50年くらい前に発生した「アマチュア引きぬき事件」の名残がいまだに残っており、プロ球界関係者が高校生以上のアマチュアを指導してはいけない、という「プロアマ規定」があります。したがって、このブログは、その「規定違反」を本人が告白した、という事になります。

 その「調査結果」が発表になったのですが、その内容には呆れました。学生野球連盟は、
 首都大学連盟を通じて東海大野球部に注意する措置を取ると決めた。南原晃審議委員長は「大学からの報告書を受け、そういう事実はなかったと判断した。記述した内容が違っていた、ということ」と語った。ただ、事実であれば日本学生野球憲章に抵触することを理解していない部員がいたため、「指導を徹底してもらうために」注意とした。
 と発表したのです。
 単純に解釈すると、「プロのコーチがメニューを与えたというのは事実でない。だからプロ側には問題ないが、そのような『規定違反』を理解していない事を明言してしまったした学生には問題がある」となります。
 どういう神経だとこのような「発表」ができるのだろうか、と思いました。もし、「プロのコーチにメニューを貰った」というのが事実でないのなら、実在する人物の名前と所属球団を挙げて、でっち上げをブログに書く事自体が問題です。プロアマ規定などが出てくる余地などありません。
 ちなみに、所属大学の監督氏によると、
 「9月30日に『巨人のトレーナーの内藤さんからリハビリメニューで朝晩1時間走るんだよって言われているのに(ヒジが)痛くて走れません』と書き込んだようです。『内藤さんから』の後に、『励まして頂いた。』などの言葉が省かれています。『1時間走る』と指導しているのは病院です。句読点が一切ないため、まるで内藤さんからリハビリの指導をされているように読めてしまいます
 原文は既に見れませんが、監督氏の言う事が事実で、学生さんの文書力が稚拙なゆえに、そのような「誤解を招く記述」をしてしまった、と理解するのは普通の国語力がある人ならば無理でしょう。
 よくもここまで、誰もが納得できない「つくり話」をでっち上げたものだ、と呆れてしまいました。
 大学の部活動は教育の一環のはずです。果たして、この学生さんは、一連の騒動で、どのような「教育」を受けたのだろうか、と思うと、暗澹たる気分になってしまいました。

2011年10月17日 23:05