2011年02月10日

八百長語源雑感

[ 漫画 ]

 商業マスコミの八百長報道にはもはや食傷感しかありません。しかしながら、あれだけ「八百長」という言葉を見すぎたせいか、ついついその語源の事を再考してしまいました。
 有名な説として、「19世紀末の相撲界で権力を持っていた当時の伊勢ノ海親方が囲碁好きで、それに取り入ろうと、八百屋の長兵衛さんが、わざと負けて機嫌を取っていた。ところが、ある所で囲碁のトッププロである本因坊に二子もしくは三子の置碁で好勝負を演じたことを見られ、わざと囲碁で負けていた事がバレた」というのがあります。

 ちなみに、ウィキペディアでは、これを八百屋の長兵衛さんが、「本因坊秀元と互角の勝負をした」などと、もの凄いことが書いてあります。
 普通、本因坊と互角ならプロになると思うのですが・・・。それとも、当時の「相撲協会に出入りしている八百屋」の収入は囲碁のトッププロを上回っていたのでしょうか。
 それはともかく、その長兵衛さんの「八百長ぶり」の事を思い出しているうちに、「ヒカルの碁」9巻の事を思い出しました。主人公のライバルである天才棋士・塔矢アキラが、四面打ち(アマチュア四人相手に同時に打つ)で実力の異なる相手を全て持碁(引き分け)にする、というものです。
 さらに、巻末には実在するプロ棋士の「五面打ちまでは何とかなる」という談話が紹介されていました。
 その事を思い出し、実は、その長兵衛さんと本因坊の対局も、本因坊がわざと好勝負に見せるという、広い意味での「八百長」だったのでは、と思いました。
 単なる侮辱言葉として使われる「八百長」ですが、こうやって考えると、意外に奥が深いものです。草葉の陰にいる八百屋の長兵衛さんがこの騒動を見たらどう思うのだろうか、などとも思いました。

2011年02月10日 00:16