2010年12月14日

是の打ちどころのない条例

[ 漫画 ]

 話題の都条例ですが、その内容や審議経過などの情報が入れば入るほど、その異常さに呆れてしまいます。
 冗談抜きで、「いい点」と言える部分が何一つありません。完璧なもののことを「非の打ち所のない」と言いますが、これはその反対で、是の打ちどころがないとしか言いようのない、マイナスの意味で完璧だと言えるでしょう。
 まず、「漫画の性描写が青少年に影響を及ぼす」というこの条例の根本が、妄想を前提としているとしか思えません。
 ヲタ系の人が性犯罪などで逮捕され、その容疑者の家からエロゲーなどが発見すると、マスコミは大々的にそのことを報じます。しかしながら、取り調べの警察発表などで「18禁漫画を読んで、実際にやりたくなった」などと言った供述が報道された、などという事は聞いたことがありません。

 だいたい、漫画は影響力があって、実写や小説、さらに言うなら報道には影響力がない、という考えが意味不明です。性表現とはずれますが、「納豆ダイエット」で分かるように、多くの人に誤った知識を広める点においては、漫画よりTVのほうがずっと大きいでしょう。
 さらに言うと、この条例を作る勢力の実績がまた異常すぎます。マイノリティ差別発言をする都知事は論外ですが、それにくっついている与党の都議連中もろくなのがいません。
 審議を傍聴した人がその状況をネットに書いていましたが、予想通りとはいえ、その人間としての質の低さと、論理性のなさには呆れるよりありませんでした。
 ちなみに、この都知事およびその意を受けた議員が、10数年ほど前に、その必要性も理解せずに、養護学校の性教育を弾圧する、という事件がありました。その結果、被害者に訴えられて処分取消の判決を受けています。
 もちろん、彼らはそれを反省する事などなく、何も学習せずに同じような事をやっているわけです。
 そして、経済的にも、現在の日本で数少ない「成長産業」である漫画・アニメの作り手をバカ呼ばわりして抑圧する、というのですから凄すぎます。今回の件における、「逆経済効果」を試算したらいくらになるのだろうか、などと思いました。

2010年12月14日 23:45