2012年05月09日

神聖化すればいいわけでも

 仏教で有名な伝説に、釈迦が生まれた時に、両指で空と地面を指して「天上天下唯我独尊」と言った、というものがあります。
 将来どんなに偉大なことをしようと、人間であれば生まれた直後にそんな事ができるわけありません。もしこの逸話が事実だとしたら、釈迦は宇宙人だか異次元人だかになってしまいます。
 仏教についての詳しい知識はないのですが、人が悟りを開くのを一つの到達点としている、と認識しています。となると釈迦が元々人間でなければ、普通の人間である他の信者たちは、いくら仏教の教えを守っても悟りの域に達するのは無理、という事になってしまうのでは、と思います。
 まあ、教祖は神聖でなければならない、と考えた信者が創作した伝説なのでしょう。仏教のみならず、どの宗教でもよくある話です。
 ただ、このような伝説が宗教にとって役に立つかは気になるところです。「教祖が生まれた時に『天上天下唯我独尊』と言ったから」という理由で仏教に入信した、という人はあまりいないのでは、と思います。
 逆に私のように、「変な伝説を創作しているな」と思う人もいるのではないでしょうか。何千年もの歴史のある仏教だからいいものの、新興宗教だったら一発で白い目で見られてしまうところです。
 今でも伝説として残っているくらいですから、この逸話を作った人の創作能力は凄いとは思います。ただ、仏教そのものにとっては、その人が有益な存在とは言えないのでは、とも思いました。

2012年05月09日 21:51