2012年04月09日

西日のパン屋

 夕暮れ時、普段使わない裏道に、ちょっと入ってみました。すると、そこにはビルがあり、道路に面している場所が店舗となっており、何件かテナントが入っていました。
 夜のみ営業の店が多いのか、空きがあるのか分かりませんが、ほとんどの店はまだシャッターが降りていました。そんな中、二つだけ空いている店がありました。一つは骨董品屋で、もう一つはパン屋でした。
 ところが、外から見ると、そのパン屋はかなり奇妙でした。普通のパン屋は、当然ながら、棚にパンが置いてあります。しかしながら、この店は、その棚になぜか新聞紙や広告の紙が置いてあるのです。
 不思議に思って中に入りました。すると、新聞紙などの下に、パンが並んでいました。すると、店主さんが、「西日が入るからこうしているの」と話しかけてきました。
 確かに、その店舗は西向きで、かなり強い西日が入ってきていました。確かに、これにさらされれば、パンの品質などすぐに落ちてしまうでしょう。「カバー」をかけるのも仕方ないところです。
 しかしながら、これを見た人はどう思うでしょうか。少なくとも夕方の様子を見て、ここでパンを買おう、と思う人はいないでしょう。
 つまり、この店舗は、夕方に食べ物を売る業種が商売する場所ではなかったわけです。その事を説明せずに、パン屋さんに店を貸した人だか会社にはちょっと問題があるのでは、と思いました。
 せっかく入ったので、日陰にあった60円で2枚のクッキーを買ったのですが、なかなかの美味でした。それだけに、より一層、新聞紙でパンを覆っている事を説明した店主さんのもの寂しそうな様子が、印象に残ってしまいました。

2012年04月09日 22:25