2012年03月07日

ブラック・ジャック創作秘話

[ 漫画 ]

 昨年の「このマンガがすごい!」で一位になった「ブラック・ジャック創作秘話」を今更ですが読みました。
 題名に反して、「ブラックジャック」という作品がどのようにして作られたか、についてはほとんど描かれていませんでした。
 作品の大半は「締め切りギリギリになり、原稿を落としかけた手塚氏が、いかに超人的な努力と熱意で原稿を仕上げたか」という描写で締められていました。
 それは確かに凄いとは思います。ただ、ならばもっと余裕をもってスケジュールを組めなかったのかとか、毎回こんな事になるなら、仕事量を減らすべきだったのでは、という思いのほうが、強く残りました。
 実際、この作品では述べられていませんでしたが、手塚氏の作品には、ネタに詰まって重要な部分を端折ったものが少なからずあります。物凄いものになると、とんでもない設定を作り、それを作中のキャラが堂々と「普通は無理だがこれはマンガだからできるのだ」などと言った、などという話すら存在していました。
 そういう事もあり、一連の逸話は、誇れることではないのでは、と思いました。
 もっとも、手塚氏はその人生にほぼ満足していたでしょうし、当時も今も、その評価は「漫画の神様」なわけです。それを考えれば、他人がどうこう言う問題ではないのかも、とも思いました。

2012年03月07日 22:47