2012年04月27日

間違ったキャラの使用法

[ 漫画 ]

 キリンビバレッジが「トクホのコーラ」を販売しました。要は「黒烏龍茶」のコーラ版です。
 それはいいのですが、電車の中でその広告を見た時は唖然としました。CMキャラクターに「あしたのジョー」を使っているのですが、そこでは、矢吹丈がピザやポテトチップスなどを食べまくっているのです。そして、それを見た白木葉子が「トクホのコーラだから」などとその行為を容認しているのです。
 サイトを見たら、動画版が掲載されており、そちらでは、同じく高カロリー食品を食べまくる矢吹丈が、驚き呆れる丹下段平の叱責を、「トクホのコーラ」を飲みながら受け流す、というものでした。
 作る側としては、「太らない飲料→減量苦→あしたのジョー」という安直な連想で選んだのでしょうか。しかしながら、このキャラ選択ははっきり言って間違いすぎていると思いました。

 「あしたのジョー」の減量といえば力石徹が有名ですが、ジョー自身も過酷な減量をしています。
 成長期のため、体自体が大きくなっているので、普通ならば、上の階級に変更するところです。しかしながら、かつて自分と闘うために命がけでバンタム級に減量した力石の事もあり、ジョーは無茶な減量をしてバンタム級にとどまろうとします。
 その時、ジョーの前に立ちはだかったのは、幼少時に朝鮮戦争を体験し、飢餓の極限により実の父親を殺したという過去を持つ、東洋チャンピオン・金竜飛でした。
 その壮絶な過去を聞き、ジョーは「勝てない」と思ってしまいます。しかしながら、かつて力石が、同様の極限を自ら課していたという事を思い出し、精神的に立ち直り、逆転勝利をする、という展開でした。
 この時のジョーの心の描き方は強く心に残っています。それだけに、その矢吹丈が「痩せる飲み物があるから」などという理由で、ボクシングにいいと思えない食品を飽食するなどというのはありえないことだと思いました。

 それこそ、ウルトラセブンが異星人退治の請求書を地球防衛軍に送りつけ、払わねば地球を破壊すると脅迫した、というくらいの「キャラ改変」だと思いました。
 人気キャラクターを宣伝に使う人も、それを許諾する著作権者も、もう少しキャラに敬意を払うべきなのでは、と強く思いました。同時に、この「キリンビバレッジのトクホコーラ」だけは、何があっても絶対に飲むまい、と心に誓いました。

2012年04月27日 23:55