2009年12月02日

毎度の事ながら

 大阪の個室ビデオ店で火事が発生し、16人が死亡したという事件で、「自殺しようとして放火した」という事で逮捕・起訴された被告に死刑判決が下りました。被告の人は、取り調べでは自供したものの、公判では一転して全面否認しています。
 にも関わらず、裁判所は「取調べは適正に行なわれた」とし、当初の自供をもとに判決を下しました。そしてマスコミは被告の態度を批判し、被告が犯人であることと決めつけた上で、遺族の「怒りの声」を載せています。
 一方、弁護人側は会見で「認定するにあたり、弁護人側の疑問には全然答えていない」と言ったとされています。しかし、具体的にどのような疑問が提示されたかは記事になっていません。

 死のうとして放火し、さらにそれを取調べの時点では素直に認めた人が、いざ裁判が始まると、一転して無罪を主張する、というのは、あまりにも言動に整合性がありません。
 過去、似たような事は何度もありました。その度に問題になったのは、「取調べの内容」でした。今回の判決では「威圧的な取り調べはなく」となっているそうですが、その模様を最初から最後まで記録した映像でも入手できたのでしょうか。
 これまでこの事件については、ほとんど何も知りませんでした。そんな私が、「被告が犯人」という前提の新聞記事を読んだだけで、これだけの疑問が出てくるわけです。実際に弁護側の主張を見れば、さらなる疑問が出てくるのでは、と思います。
 人の命がかかっているのですから、控訴審ではより精密な審理が行なわれることを願っています。あと、「威圧的な取調べはなかった」というのなら、それを明らかにするためにも、「取り調べの完全録画と必要に応じての開示」を早急に実現する必要があると強く思いました。

2009年12月02日 23:59