2009年11月23日

バレンタイン前監督のトークショー

 浦安のサンルートホテルで、ボビー=バレンタイン前監督のトークショーが行なわれたので参加してきました。参加者は230人ほどでした。
 中曽根通訳ともども入場し、まずは、司会者からの質問に答える形での会話となりました。
 まずは、通算7年間、千葉で監督を務めた思い出を尋ねられました。それに対して、1995年の開幕戦から、2009年の本拠地最終戦までの全ての試合、という感じで答えていました。ただ、2009年本拠地最終戦で、小宮山投手が最後の投球でセーブを挙げた事については、二回言っていました。最近の事でもあり、強く印象に残っているのでしょう。

 逆に言うと、2005年の栄冠についてを、とりたてて強調する事はありませんでした。それに関して一番印象に残ったのは、「2005年までは、チーム・ファン・フロントが一つになって目標に向かっていた」と、暗に優勝した翌年から現在の異常な状況の兆候があった事を語っていた事でした。
 そして、話の途中で、「考えてみれば、このような形でファンとふれあえるのは、今年になってからは今日が初めて」と言い、2009年のフロント・マスコミの異常さについて述べていました。
 そして、改めてプロ野球という興業は、ファンがいなければ存在し得ない、と言い、そのファンを軽視する姿勢について、厳しく批判していました。一例として、在任中6年間、トイレの改修について要望していたのに無視された事を挙げていました。
 そして、現在のロッテ球団のファンサービスについて、10年前に退化したように思える。ただ、札幌・仙台・所沢などでは、先進的なファンサービスが行なわれている、と他球団の進歩については好意的に話していました。
 また、今後の事については、改めて来年はESPNで解説者をやると明言していました。アメリカの球団から要請はあったそうですが、やはり今年まで千葉で監督をやり、来年から他球団、という切り替えはできない、との事でした。これを聞いた時は、今年一年でいろいろ疲れた、というのもあるのだるか、と思いました。
 ただ、一方で、大リーグ球団を買収する動きがあり、そこで活動する予定がある、という話もありました。それが実現したら、どのような形でそのチームに携わるのか、非常に興味深く思いました。

 この後は、事前に集めていた、参加者からの質問に答える、という形になりました。少年ファンによる「好きな寿司はなんですか?」などというものから、わざわざ愛知県から来た学校の教師達による「新たに担任になったが、生徒とどう接すればいいか」という深刻なものまで、色々ありました。
 それに対する答えですが、好きな寿司はウニとトロとの事でした。
 そして、教師達からの質問については、「生徒たちの小さな成功に、自分が気付いている事を伝える」「どんな小さな成功でも大切にし、それは野球で日本シリーズを制するのと何ら変わらない価値がある、と教える」「もし悪いことをして叱責する時は、やってしまった事の問題点を教え、本人の人格を叱責しない」と答えていました。
 長年にわたる監督業で、多くの人と接し、その良さを伸ばしていた人だけに、説得力がありました。学校教育のみならず、自分の仕事でも参考になる、と聞いていて思いました。
 司会者が「これで最後」と言った質問が、すでに回答済みなのとほぼ同じ内容でした。そこで、自ら質問を引き、野球をやっている子供の「どうすれば上達できるか?」というのに答えました。当然ながら、「練習をする」というのをまず挙げていました。そして、「三割打者だって七回は失敗する。それが野球というスポーツ。だから失敗を恐れるな」「成功しても失敗しても、その内容を反省し、よりよいプレーができるように」「目標を持って、少しでも前の自分よりいい自分であろうとする」などと、これまた、野球に特化せずに、一般にも通じる言い方で答えていました。
 今年のフロントに対する不快感も少なからず述べていましたが、全体的には未来を見据えている話のほうが主体となっていました。本質的に、そういう考え方を持つ人なのでしょう。改めて、この人が率いるチームを応援することができて良かった、と思いました。

 最後は、参加者一人一人と監督による撮影会が行なわれました。もともとは、サイン入りカードを手渡す、という企画だったようです。しかし、開催前には、「撮影は固くお断り」とアナウンスされて、場内からは不満げな雰囲気が漂いました。それを受けて、急遽開催された、という感じでした。
 家族連れも多く、中には親子三代で十人くらいで来ている家族もいました。それだけ、多様な層に監督が好かれていた、という事なのでしょう。
 この一年、野球に関しては、あまり楽しい思いはできず、むしろ苦痛を感じる事すらありました。そういう事もあり、この最後に参加したイベントは、今年の野球の中で、一番楽しい物となりました。
 いつの日になるか分かりませんが、またいつかこのような会に出たいものです。

2009年11月23日 23:55