2009年12月11日

木登りの達人

 徒然草に、木登りの達人が、弟子の技を見ていて、地面に降りる直前になって初めて「気を付けて降りるように」と注意した、という話があります。
 子供の頃、これを読んだときは、「確かに、ここまで行けば後は簡単だ、という時に気が緩むことはある。とはいえ、木登りで地面に降りる直前でわざわざ注意するとは、大袈裟だ」と思っていました。

 しかし、「木登りでいうところの、地面に降りる寸前」にあたるような簡単なところで、とんでもない失敗をし、それまでの苦労が水の泡、という事は実際にある、という事は、今になれば分かります。
 というわけでこの年になって、「簡単に思える所でこそ注意するべき」という話で、あえて木登りの達人の逸話を使ったのは、適切だったのだな、という事が理解できました。
 同じ話でも、その時の自分によって感想が大きく変わる、という典型みたいな話だと思いました。

2009年12月11日 01:27