2009年10月11日

2009パリーグレギュラーシーズン終了

 仙台で行なわれた東北-福岡は今季パリーグレギュラーシーズン最終戦。東北がもう1回負けていたら、この試合は、「勝った方が2位となり、CS地元開催」という大一番でしたが、既に東北が2位を決めているため、消化試合となりました。とはいえ、五日後に開始するCSの前哨戦、という意味では両チームにとって色々な価値があるとは思いますが・・・。

 試合のほうはラズナー投手と和田投手の先発でしたが、初回に内野ゴロとオーティズ選手の適時打で福岡が先制すると、中終盤には川崎選手の2ランと田上選手のソロと、本塁打攻勢で追加点を挙げます。
 一方、復帰後不本意な投球が続いていた和田投手ですが、今日は5回を無失点と好投。以下は合計7投手をつぎ込む細かい継投で完封リレーを達成し、最終戦を飾っています。観客数は2万6百人ほどでした。

 これで、パリーグはレギュラーシーズンが全て終了しました。
 優勝は、2年ぶりとなる北海道で、ここ4年で3回と、すっかり「パリーグの盟主」となっています。東京ドーム時代は、最後の10年でAクラスが2回だけだった「弱小球団」でした。それが、2004年の移転後の6年で優勝3回でBクラスは1回のみですから、その強化ぶりは驚異的です。
 さらに驚く事は、看板選手が続々と抜けている事です。移転時の顔であった新庄選手を始め、2006年の優勝時のMVPやリリーフエースがことごとく移籍・退団しました。一方で、目立つ補強といえば、2005年にFA加入した稲葉選手くらいです。もちろん、稲葉選手の優勝への貢献度は計り知れないものがありますが、選手の出入り、という点だけで見れば、あきらかに主力が減っています。
 それでこれだけの成績を残せるのですから、いかに選手をよく育てているかが解ります。
 そしてもう一つ感心させられるのが、日々進歩するファンサービスです。優勝決定の日は、優勝会見をグランドでやり、さらに球場内で行なわれたビールかけも、オーロラビジョンで中継していました。
 そして最終戦では、監督の挨拶の後、いきなり、「今度はファンの皆さんからお祝いです」というアナウンスがあり、オーロラビジョンから嬉しそうに祝辞を言う老若男女のファンが映し出されました。
 さらに、選手がグランドを一周すると、今度はマスコットの「B.B.」がマイクを持って選手に近づき、インタビューをしていました。そして、主力選手の声が直接ファンに届けられました。
 千葉においては、「進歩的なファンサービス」など、ここ数年見ることがなかったので、驚くと同時にうらやましく思ったものでした。

 今季のパリーグにおけるもう一つの主役は、2位に躍進した東北でしょう。昨年前半に首位に立ったときも、一昨年までとは質の違う強さを感じたものでしたが、その時は長持ちせず、結局5位に終わりました。
 今年も序盤は上位にいたものの、交流戦あたりから同じような展開で下位に落ち、7月8日には千葉と入れ替わって5位まで落ちました。このまま昨年のようになるのか、と思いきや、1日で4位に戻るや、そこから着実に白星を重ね、3位さらには2位と順位を上げてきました。
 千葉同様、シーズン前に監督が今季限り、という異様な状況で望んだわけですが、そこからのフロントの動きは大違いでした。開幕直前に宮出選手を補強したのに始まり、中盤にはリンデン選手を補強し、これらが功を奏しました。
 また、野村監督に対しても、中傷記事を流させる事などはせず、サポートしてきました。もっとも、ここ数日雲行きが怪しくなり、CSに心配が残るところではありますが・・・。
 いずれにせよ、創設時の惨状を考えると、5年でここまで来たという事には、驚きと賞賛をおぼえます。

 3位の福岡は、昨年最下位になり、今年も斉藤投手のみならず、新垣投手・和田投手と、かつての「四本柱」の三本が抜けるという惨状でした。そして序盤は低迷したのですが、それを救ったのは、新人の攝津投手・新外国人のファルケンボーグ投手という、強力な中継ぎ陣でした。
 目立った扱いを受けませんが、この中継ぎ陣が安定した中継ぎ陣というのがいかにチームにとって役立つかと改めて感じさせられました。リリーフ陣の離脱・不調で昨年の日本一から四位に落ちた埼玉と比べると、より一層そう思います。
 また、長谷川選手・田上選手といったところの成長並びにレギュラー固定と、緊急補強したオーティズ選手の活躍も大きかったのでしょう。

 埼玉は、先述したようなリリーフ陣の不調に加え、戦力の積み増しがなかったのが痛かったように思えました。合併球団は、先発陣の不調と、相次ぐ主力の怪我が大きかったと思われます。まあ、合併球団の場合は、ここ何年かの成績を見れば分かるように、昨年が突然変異的なできすぎで、今年は従来通り、と言えなくもないですが・・・。

 投手個人成績のほうは、最多勝が涌井投手・防御率がダルビッシュ投手・奪三振が杉内投手と、「三強」がそれぞれ主要タイトルを分け合った形になりました。一方、その三部門で全てベスト3に入った田中投手は、来年以降大いに期待できます。
 リリーフでは、セーブが武田久投手で、ホールドは新人の攝津投手でした。ホールド2位はファルケンボーグ投手で、これがいかに大きかったかは先述した通りです。
 一方、打者個人成績は、中村選手が本塁打と打点の二冠でした。秋に離脱がありましたが、なければ確実に50本に到達していたでしょう。もはや、パリーグではダントツの長距離打者と言ってもいいかもしれません。また、41歳ながらこの両部門で2位につけた山崎武選手の活躍も驚異的と言えるでしょう。また、首位打者は鉄平選手が取りました。移籍で能力が開花した典型的な選手という感じです。また、盗塁王は三年連続で片岡選手でした。2位には7差をつけています。もはや、足においては、他の選手と完全に水を空けたという印象がありました。

 というわけで、5日あけて金曜からはCSが始まります。第1ステージは、数日前まで東北有利と思っていましたが、ここ数日のゴタゴタで少々分からなくなってきました。そのあたりを解決し、ぜひともいい試合を見せてもらいたいものです。

 ところで今日行なわれたセリーグの東京-ドラゴンズは8回にデントナ選手に逆転2ランが出て東京が逆転勝ちしたのですが、これを巡って落合監督が抗議し、騒動になりかけました。
 左翼ポールの左側を通ったようにも見えましたが、右翼側からポールを映したビデオでは、明らかにポールを巻いています。しかし、落合監督がなかなか食い下がらず、審判団の説明もあまり上手くなかったので、左翼席のドラゴンズファンの一部が怒り出す場面もありました。
 見ていて、「証拠映像」をオーロラビジョンで流せば一発で解決なのに、などと思ってしまいました。8月から試験的に導入されているビデオ判定ですが、今回の騒動を見ると、やはり本格導入が必要なのでは、と思いました。
 (追記)なんでも、落合監督は、ファウルのように見える映像がオーロラビジョンに流れたのを見て、猛抗議したとのこと。ならば余計に、「明らかに本塁打」の映像も流せば良かったのに、と思いました。

2009年10月11日 22:51