2004年09月23日

「プロ野球ファン」の居場所がわからない会社

[ 野球 ]

 スト明けのプロ野球は大いに盛り上がりました(20日21日)。特にすごかったのは、プレーオフの進出のかかったマリーンズとファイターズの試合。札幌は20日は42,000人。さらに翌21日は連休明けの平日にもかかわらず、43,000人ものお客さんが入りました。
 一方、西武ドームのマリーンズ戦も20日は45,000人、翌日も引退試合などもあって、これまた平日夜の所沢にもかかわらず、32,000人も入りました。(入場者数はいずれも主催者発表)。
 当然ながら、私はマリーンズ戦をメインに、合間にファイターズ戦、あとの試合もたまにまわす、というTV観戦をしていました。そして所沢と札幌を筆頭に、神宮のタイガースファンによる古田コールなど、各球場の盛り上がりも堪能しました。
 ところが、私の知らない別世界で、全く持って異なるプロ野球が行われていたようです。夕刊フジにスト~ム一過!?本物のファンは何処に… 球場ガラガラ…低~い視聴率という表題の記事が載りました。ここには、各地の球場は盛況だったが、首位攻防の中日-巨人戦の視聴率は、たったの9.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。と書いています。

 「首位攻防戦」といっても、ゲーム差は試合開始前で6.5に開いていました。3位スワローズとの残り試合の関係でマジックが点灯していないだけの話です。そんな試合、関東在住のドラゴンズファン以外は興味を示さないのは当然です(なお、ナゴヤドームは満員でした)。
 さらに、翌21日のベイスターズ対読売戦の観客が17,000人だった事を挙げ、「ファン離れ」を強調。空いている椅子の写真につけた説明文が「真のプロ野球ファンはどこにいる!?」。どうやら、この新聞にとっての「真の野球ファン」とは、読売戦のTVを見て、読売戦の観戦に行く人だけのようです。
 札幌の43,000人などは眼中にないのでしょう。ちなみに、私の職場のバファローズファンの先輩(もちろん合併反対・ストライキ支持)は、連休を利用して大阪ドームまで遠征してこの日も観戦していました。夕刊フジにとってはこの先輩も「真のプロ野球ファン」ではないでしょうね。
※先方の言葉にあわせて「真の」という言葉をあえてそのまま使いました。私自身は「野球ファン」というものに「真の」という言葉をつける事自体が非常におかしいと思っています。

 この新聞は一貫して読売前オーナー氏を礼賛し続けるなど、経営者べったりの「報道」を続けています。したがって、ストを支持したファンも当然「批判の対象」になるため、このような記事を書いたのでしょう。
 また、記事の冒頭で古田選手会長の「今はファンも熱くなっているから、底辺を広げるチャンス」という発言を引用しています。これもおそらく、「そのような事はない」と主張したかったと思われます。
 とはいえ、いくらなんでも、札幌で「記録」が生まれた2日間を題材に、「球場ガラガラ」はないでしょう。経営者側の「援護射撃」をするつもりだったのでしょうが、これでは逆効果。古田選手会長の援護射撃をしたようなものです。
 まあ、この新聞のプロ野球記事の質の低さは今に始まった事ではありません。とはいえ、この一体、本当の野球ファンはどこにいるのか?などという記事を見ると、改めて夕刊フジに対して、「一体、本当に野球を知っている記者はどこにいるのか?」「真のプロ野球担当記者はどこにいる!?」と尋ねたくなりました。

2004年09月23日 01:59