2009年06月04日

天安門とダブルスタンダード

 中国政府が民主化デモを行なっていた国民を戦車で虐殺してから20年たちました。その「二十周年」に対し、事件を風化させようとしている中国政府の動きを批判している論調を見ました。
 その批判自体は間違っていないと思います。ただ、産経新聞にそのような記事が載ったのには笑ってしまいました。何しろ、普段は日本がかつて行なった、自国民・外国人に対する残虐行為については、風化させようとする記事を懸命に書いているのです。もしかして、中国政府が天安門を隠蔽するのは悪だが、日本政府が南京虐殺や沖縄強制自殺を隠蔽するのは善だ、とでも言いたいのでしょうか。

 ちなみに、その記事からのリンクをたどったら、「日中国旗を背景にした水着写真を披露した中国人アイドルに、中国のネットで非難囂々」という記事を批判していました。これについても、そのような非難活動がおかしい、という事自体は賛成します。
 しかしながら、その一方で国内では、「日の丸」「君が代」を強制する自治体や教育委員会を賞賛した記事を書いているわけです。さらに言えば、イラク侵略戦争の時は、人質になった人々を批判する「ネット世論」を積極的に煽っていたりしました。
 もっとも、グループ全体で見れば、「エンタテイメント」を「本業」としている情報産業なわけです。そう考えれば、これらの記事も、その「対象によって態度を変える」ぶりを笑わせるのが真の目的なのかも、などとまで思ったほどの「ダブルスタンダード記事」でした。

2009年06月04日 23:54