2009年07月17日

再開発と名残

 前いた会社のすぐそばで飲み会がありました。そこを辞める時、丁度周囲は再開発の真っ最中で、至る所で工事が行なわれていました。一年三ヶ月ぶりに訪れたら、工事は完成しており、かつての古さが残った街は、すっかりマンション街になっていました。
 前の会社が入っていた建物の向かいも、かつては千代田区にあるとは思えないような、古い民家が二軒並んでいました。しかし、いずれも地上げされ、マンションが建っていました。

 そんななか、敷地の前に一本の樹が立っていました。地上げの際に葉を全て切り落とされ枝だけになっており、切り倒されるのは時間の問題か、と思っていたのですが、なぜかその樹だけはそのままでした。
 まあ、おそらくは切り倒して根を抜いて整地するより、放置していたほうが安く上がる、という経済的理由によるものでしょう。
 同じ樹ですが、民家の前で葉を茂らせてささやかな木陰を作っていたのと、マンションの前で枝だけの異様な姿で立っているのは全然違います。残っている分、当時との違いがより際だってしまっていました。
 とはいえ、命あっての物種です。いつかまた状況が変わり、この樹が再び葉を茂らせる可能性もあります。そんな事を考えながら、無惨な姿をさらしている樹に対し、応援のような感情が浮かびました。

2009年07月17日 00:05